■ORDER No.010 キーケース(Ferrari)


完成写真最初1月末に打診頂き、1週間メールのやり取りで大凡の握りをとってましたので3月中スタートとややブランクありましたが方向性のぶれはありませんでした。というのも当初リクエスト頂いた内容に対し、LEE'S PRODUCTSとして出来る事出来ない事をしっかりとお伝えし、乗るか反るか?みたいな大胆なかけひきがありましてw
甚く感銘頂き製作にこぎつけた次第です。今から思えば非常に失礼な対応だったかも知れませんが、やはり当ブランドに興味を持って来ていただいたオーナー様に媚びる事は逆にオーナー様に対して失礼だし、オーナー様にイメージをぶつけられないようなブランドは当方のやりたいブランドではありません。ただ、後でその鍵が本物のフェラーリのものと解り、ビビってしまったのは内緒ですw
革は当方定番オイルヌメ赤、糸は麻(エスコード)の自家染め赤、金具類はシルバーメッキを使用

■制作期間:約2ヶ月

■制作費(今後予測):¥28,000

完成写真 完成写真

■STEP01 (オーダー/受理)
キーケース左の写真を添付頂き『このようなキーケースを製作できますか?』という打診を頂きました。
ただ当初から「こういうケースなら他の革工房さんでもすぐにやってもらえるだろうし、わざわざうちに打診してくるくらいやから何かを期待してるのでは?」という思いがありまして、色々メールでやり取りさせて頂きました。結果は当方の考え方に共感頂きオーダーにこぎ着けました。理想の形でのスタートをさせて頂き、ありがたい限りです。
■STEP02-1 (コンセプト展開)
aideaA
スタンダードA案 / 筒型収納B案 / 振り出し式C案 / カバー+ケース別体式D案

メールでの打合せで「キーをフルにカバー出来て、そのまま他の金属物や突起物と一緒にポケットや鞄に入れてもキーに傷が付かない物」で当方の定番革、オイルヌメ赤使用という事でスタートです。
もちろんいつものようにこの段階ではこれに決めて下さいという事ではありませんが、
やはり現在お持ちのキーケースと同じコンセプトのA案に興味を示されました。

■STEP02-2 (意匠展開)
aideaA
スタティックドーム型a案 / ダイナミックラインb案 / ダイナミックドーム型c案(縦開き)

基本コンセプトはA案で意匠の提案です。
ラフ案で提案したA案そのままのシンメトリーなドーム形状が安定感あるa案。出来る限り肉をそぎ落とすと結果的にダイナミックなライン使いになったb案。a案b案共にケース開閉方向とリングの回し方がシンクロしていないのが気になって方向をそろえた案、更にa案と同じドーム形としながらもこちらはシンメトリーとせず、やや前衛的なラインを施し少しオートモーティブを意識したラインとしたc案の3つを提案、この後のやり取りで2枚ほどスケッチを追加しましたが結果はb案で決定し、最終意匠に進めました。

■STEP03 (完成予想図確認→合意)
完成予想図平行作業としてキー本体をお預かりし、測定完了後既にDATA化しており、それを元に最終意匠を詰めていきましたので結果最終作品とほぼ変わらない最終意匠をこの時点で提示する事が出来ました。
糸の色を赤と白で一瞬悩まれましたが汚れ対策で赤となりました。

※下の画像は2回目の“完成予想図と部位確認図”
完成予想図白ライン&切りかき 部位確認

■STEP04-1 (DATA製作)
DATADATAは大きくインナーとアウター2種類を作成。左画像はアウター形状のオス型データ

※下の画像はキー本体を測定し、作成したDATA
完成予想図白ライン&切りかき

■STEP04-2 (木型製作)
木型写真に含まれないものも含め今回は木型、型紙合わせて計12点と、ケースの形崩れ防止にプラ板をフレームとして製作、カバーの中に入ってます。(0.5mmのプラスチックなので効果の程は未知数ですが...)
完成 完成
■STEP05 (製作経過)
型絞り作業インナー/アウターをそれぞれ成型していきます。DATAで位置関係の把握は出来ていますので合わせの心配はこの段階ではしていませんでしたが...

皺防止インナーのサイズ確認です。今回もオーナー様に協力頂き、完成までの約2ヶ月間キーを借り受ける事が出来たおかげでかなり正確なカバーの製作が出来ました。やはり木型だけで確認するよりもこうして本物がきちんと入るという安心感は精神衛生面でも非常に効果的です。こういうステップがしっかり踏めると安心して次の工程に進めます。

木型と絞りインナー/アウターがそれぞれ型取れた状態、これからこの2つを合わせていく作業に入ります。

材料出揃い再度、やり直しの図。インナーとアウターを合わせる時にズレが発生し、縫製ラインとカバーの外殻が上手く揃いませんでした。これはカバー外殻を最後に接着してから一緒に切り落とそうと考えたのですが切り出した表は上手くいったように見えても裏が大きくずれる結果になりました。そこでやはりCNCで切り出したDATAを信頼する事にし、アウターインナー共に接着する前に外殻切り出しを行い、その淵をそろえる形で接着を行いました。結果は良好で、やはり今回も精度のいい型紙に救われる形になりました。手前のキーの入っている半完成品はボツ品、中央の白い型紙のようなものは今回カバーの中に仕込んだフレーム部品です。

■STEP-06 (完成)
完成左画像は到着後すぐにオーナー様から御礼と共に送られてきた画像です。
自分で言うのもなんですが...『メチャクチャクールッす!!w』

今回はLEE'S PRODUCTSのポリシーを押しての受注でしたし、高級スポーツカーにも負けないようにと気負った部分もあり何度かの失敗もありましたが妥協しないで納品する事が1番と考え作業にあたりました。今回も理解あるオーナー様に恵まれ、価格以上の価値を感じていただく事も出来、無事ミッション完了です。
完成 完成 完成 完成 完成


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