■ORDER No.021 ハーレーキーケース


完成写真今回は外見よりも中身にこだわった作品です。
(もちろん外見にも力は抜いてませんが...)
お預かりしたハーレーのキーは何かアニバーサリー的な、あまりお目にかかれないキーかと思います。それだけにオーナー様の拘りも深く、『かっこよく、キーが収納されているカバー』が欲しいという事でスタートしました。
キーを固定する為にその形に沿って凹部をつけるのはもちろんの事、今回は更に開けた時飛び出さないようにキー先端部を別革(赤革)で作ったポケットで覆うというちょっと凝った意匠です。単順に合わせるだけではなく革の厚み分、一段下げて、赤革が入ると丁度ツラになるよう設計、最小のミニカシメをあしらい、デザインのワンポイントとしてます。

■制作期間:約2ヶ月

■制作費(今後予測):¥26,000 

完成写真

■STEP01 (コンセプト展開)
まずはコンセプト提案からのスタートです。
フルカバーというテーマだけに絞り、様々な収納方法に幅を持たせ提案させて頂きましたが...
aidea01コンセプトa案
オーソドックスな片ヒンジによる開閉式フルカバーのアイデアです。
aidea02コンセプトb案
基本はホックでロックする為、ほぼフルカバードとなっており、かつホックを外すと振り出せるケースのアイデアです。
aidea03コンセプトc案
押し出し式!?普段使わないときはキーシリンダー部を引っ込め、使う時だけせり出せる。ケースというよりもカバーに近いアイデアです。
aidea04コンセプトd案
別体式といいますか、キーホルダー&キーケースの考え方です。ケースの方は腰などに取り付け、キーを下に引っ張る形で取り出せるアイデアです。収納はテンションをかける部分を設けるのでそれだけで止まると考えますが、年の為キーホルダーを装備し、ケースとホックで繋げ固定します。
■STEP01+ (コンセプト展開リベンジ)
上記のコンセプト提案で具体的に望まれる内容が見えてきました。何か全然違う方向で提案を行っていたようです。
ここで軸がぶれると後々作業に支障が出ると考え、もう一度コンセプトからやり直しました。
aidea01コンセプトA案
オーソドックスな片ヒンジによる開閉式フルカバー基本のリングがキー本体とつながる為、脱落は皆無です。
aidea02コンセプトB案
カバーを開けた時にカッコ良くという事で、キーシリンダー部分を覆うようにカバーをつけたアイデアです。高級車のエンジンルームのイメージです。
aidea03コンセプトC案
カバー全体で3つ折にすることでキーの脱落を防ぎます。

■STEP02 (スタイリング展開)
上記の再コンセプト提案で『B』案をセレクト頂きましたのでスタイリング提案に移行します。
aidea01スタイリング01案
スタティックドーム形状
aidea02スタイリング02案
躍動感のあるシェイプアップライン
aidea03スタイリング03案
エッジを効かせたメカニカルなライン

■STEP03 (完成予想図確認→合意)
完成予想図最終意匠です。基本は上記スタイリング提案でさせていただいたB案に決まりましたので、ある程度製造要件を見越した形状に整えなおしてレンダリングします。今回はセンター断面も絵の中に入れまして、ケースの中にどのようにキーが納まっているのか併せて確認してもらいました。

■STEP04-1 (DATA製作)
DATA今回はポケット部のあしらい以外はほとんどチャレンジングな内容はありません。
ポケットの部分も基本は同じなので特に困った事もおこりませんでした。いつものようにイラストレーターの段階である程度の見込みを立ててましたので、設計段階は非常にスムーズに進みました。

完成
■STEP04-2 (木型製作)
木型今回は型紙合わせて計12点の製作です。
木型製作も回数を重ね、ソフトの使い方も覚えてきましたので要領よくできるようになってきました。

完成 完成
■STEP05 (製作経過)
型絞り作業まずは中のポケットの接合から、搾り出されたパーツを合わせてサイズや位置の確認です。

型絞り作業急遽、裏面には生皮をインストールすることにしました。これで大きく膨らむ形状も強度が増し、どこかにぶつけてもそうそう凹む事は無いと思います。

皺防止生皮は当初入れる予定ではなかったので設計寸法では見ていません。ですのであたりそうな所ははめ込む前に事前に切り取ります。

木型と絞り革の内側に硬化剤を塗布し、乾かないうちに生皮をはめ込みます。硬化剤が接着剤の役割を果たしてくれるのでピッタリ引っ付きます。もちろん木型の精度が良いからこそできる荒業だと思ってますが...

木型と絞り大きくこの3つのパーツで構成されます。

木型と絞り各パーツを組み合わせます。精度の良い型紙のおかげで、バラバラにけがいて切り出してもほとんどずれる事がありません。ただしこの後穴あけ、縫合を行うとそれぞれで多少のズレがでます。その場合はヤスリ&マメカンナで面を整えます。

■STEP-06 (完成)
完成という事で、今回も無事完成です。当初のスケッチのように覗き窓周りにしっかりとエッジを効かせた意匠にするにはやはり革厚1mm以下で行うのが良いようです。今回は表蓋を単板で持たせる為、2mmとしましたが、1mm+生皮でもありだったかも知れません。なんか2mm厚でしっかりとエッジの効く絞り方は無いものか?
・黒革:牛オイルヌメ 赤革:ヴォーノアニリン 糸:赤(ナイロンボンド糸) 金具:シルバーメッキ

完成 完成 完成 完成


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